
怪我をした状態なので、本来のプレーとは少し違う別の部分のプレーに見える。
「赤木」が現時点でやらなければならないのは、海南の得点を完全に抑え、奪ったボールをチームのメンバーに繋ぐことだ。
それさえ確実に実行していけば、必ず逆転のチャンスが来ると思う。
だが・・・・。
「清田」のシュートを叩き落とし、精神的圧力(?)でフリースローを2本共外させた湘北は、何とかボールを繋いで行こうとするが、「宮益」に止められ、そのまま「牧」が早い動きでシュートを決めてしまった。
やはり海南に追いつくことは難しいのか・・。
6点差に追い上げられ、湘北はますます苦しくなってくる。
それを見た「高頭監督」・・・・また芭蕉扇を広げて扇ぎ出す。
いったい何本芭蕉扇を持ってるんだ?
もしかして、身体のいたる所に何本も隠し持っているのか?(恐るべし・・・高頭)
「さあ、一気に湘北を潰せ!」
この「高頭監督」が吼える声を聞いて「流川」がキレる。
「うるせぇ、じじい!(怒)」
とうとう「流川」に嫌われたじじ・・いや、「高頭監督」(汗)
こりゃかなりムカついたんでしょうな(その気持ち、よーく解かる)
この直後、「流川」からパスをもらった「三井」が渾身のシュートを決める(堀田番長、号泣)
しかし、なかなか点差が縮まらない。
両者共、一進一退の攻防が続き、時間だけが刻々と過ぎていく。
さすがに「牧」は、衰えを見せない。
既に湘北は疲れがピークに達しているようだ。
中でも「流川」は限界に来ていた。
残り時間が少ないことで、焦りの色が濃くなっていく湘北。
「宮城」からパスで「三井」がスリーポイントシュートを放つが・・・・入らない。
そして「赤木」がボールに食らい付く。
何とかもう一度攻撃に持っていこうと、必死に手を伸ばす。
ボールは指先で弾かれ、コートの外へ・・・。
この時の「赤木」の気持ちが僕にはなんとなく解かる気がする。
みんなが疲れて思ったように動けない状態で、無理でも「三井」は得点のチャンスを作ろうとした。
しかし、これが入らなかった場合、シューターとしての精神的ショックは避けられないだろう。
そしてこのチャンスを活かさなければ、また時間だけが過ぎていくことになる。
「安西先生」が「なんとか勝たせてやりたい・・。」と言っていたように、「赤木」もこの時なんとか「三井」のボールを得点に繋げてやりたいと思ったんだ。
この思いを感じ取ったのか、倒れ込んだ「赤木」の代わりに「桜木」がボール目掛けて飛び込んでいった。
「どけぇぇぇーーーーー!!!! (じじい!←心の声)」
「桜木」の手がボールを捕らえ、勢いよくコートの中に投げ込まれた。
その先にいたのが「流川」だ。
「流川」は、最後の力を振り絞って、渾身のダンクを決める。
しかし、最後の力を出し切ってしまった「流川」に、もう試合を続ける力は無くなっていた。
そして「三井」も・・・。
疲れきっている「三井」は、パスに反応できない。
それを今度は「小暮」がフォローに走る。
ここにきて、「赤木」の思いが湘北の強さとなって現れている。
完全に体力を消耗した状態で、必死で得点のチャンスを作ろうとするメンバーのやむを得ぬミスをカバーしようと、それぞれが身体を張ってボールに食らい付こうとする。
強豪の相手をしてきた結果、そのプレッシャーで通常の半分も思ったプレーができない状況の中、それでも味方の掴んだチャンスを一つも逃すまいともがく。
何もしないではいられない。
何もしないでは終われない。
海南に勝つというより、自分に負けたくないのかもしれない。
口の悪い湘北メンバーだけど、それぞれが背負ってきた過去をチームの皆が知っていて、それぞれが持っているバスケへの思いを皆が解かっているから、どんなに疲れていても思わず身体が動いてしまうんだろう。
この粘りは脅威だ。
海南がどんなに突き放そうとしても、湘北は何度でも立ち上がってくる。
こうなったら、あとは時間としぶとさだけがゲームを左右するだろう。
さあ、この勝負、勝つのはどっちだ?!