
「彦一」が注目していたのは、ポイントガードの「宮城」だった。
同じように身長が低いことで、「彦一」自身が目指すことができるバスケのヒントを「宮城」が持っているような気がしたのだろう。
誰もが「宮城」の存在価値を軽く見ていたようだが、それが間違いだったことはすぐに証明された。
確かに長身同士のパスには手が出せないが、バスケはそれだけでボールを運ぶものではない。
一度「宮城」がボールを持ったら、持ち前の早業ですり抜けていく。
目線が低いということは、ディフェンス位置の穴が見え易いということであり、それが長身の選手には分からないんだろう。
いい選手というのは、自分のいい面も悪い面も分かっている。
試合では、悪い面を補う自分のいい面を引き出さなければならない。
自分の力を最大限に発揮するためには、すべての悪い面を転換する必要があるんだ。
「宮城」はそれを瞬時に判断して、翔陽のデカさの弱点を突いた攻撃をした。
それともう一つ。
どんなに有利な資質を持ったチームであっても、気の緩みが思わぬ落とし穴になってしまう。
つまり、相手を軽く見るという油断が相手に攻撃する隙を与えてしまい、試合の流れを変えられてしまうことがある。
この後、「宮城」からパスをもらった「桜木」が得点するが、これは2人を甘く見るという油断がもたらした結果なのだ。
もちろん「宮城」の瞬間的に状況判断する力があったからではあるが・・。
バスケをする者のほとんどが、初めは自分に最適なポジションとプレーの可能性に迷う。
「彦一」も陵南というチームの中で、自分にベストなプレーがどんなものであるか模索していた。
そして「宮城」のプレーを見た「彦一」は、自分に無いものを羨望するより自分にできる可能性をポイントガードというポジションに見つけたのだろう。
「彦一」はさっそく「宮城」を師匠としてついて行く決心をしたようだ(要チェックやぁ!!)
こんな風にいい選手は、知らないところで誰かに影響を与えている場合がある。
自分の技を磨くことも重要だが、それを見せるということもまた大事なことなんじゃないだろうか。
そして「宮城」のフェイクが利いて更に得点を上げる。
湘北が勢い付いたところで、翔陽がタイムアウトを取る。
湘北に傾いた流れを引き戻し、対湘北における作戦の変更のためだが、「藤真」はまだベンチから動こうとしない。
陵南の「田岡監督」によれば、「藤真」が翔陽の要であり、それが選手として出ていない限り翔陽はまだベストではないらしい。
つまり、「藤真」が選手として出て初めて翔陽の真の力が発揮されるというのだ。
翔陽は作戦通りディフェンスゾーンを変え、切り込まれないようにしている。
これでは「宮城」も上手くパスが回せないだろうと読んだんだな。
しかし、またここでも翔陽の見落としが原因で、思わぬところから得点が奪われることとなった。
「三井」」のスリーポイントシュートだ。
つまり、翔陽は「三井」も甘く見ていたんだな。
MVPが過去であろうとなかろうと、「三井」は復帰直後から実力を発揮している。
実は、不良やってるフリしながらこっそりどこかで練習していたんじゃないか?・・・と思わせるほどブランクが無かったわけだ(笑)
いくら切り込まれないように中を固めても、外からシュートできるなら、このディフェンスゾーンは意味が無くなる。
「三井」のこのスリーポイントシュートによって、翔陽は湘北を押さえ込む手立てを失った。
そして、ついに「藤真」が動いた。
立ち上がってジャンパーを脱ぐ「藤真」・・・(たぶん暑かったんだろう・・・え?)
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